☆溶接できる厚み、開先加工について
2015年5月14日
こんにちは。
当社では100VタイプのWT-TIG160と200VタイプのWT-TIG200と2種類のTIG溶接機を取り扱っていますが、お客様からの質問で「何ミリぐらいまで溶接できるの?」とよく聞かれます。
溶接可能厚は開先の有無、「溶接できる」の定義によって変わってきますので、今回はそれをイラスト付きで説明したいと思います。
まず、開先加工についてです。
開先加工とは、溶接する母材に予め施す加工で、溶接個所を斜めに研いでおきます。大きい会社には開先加工機がおいてあったりしますが、現場ではグラインダーで加工するのが殆どです。
文章では伝わりづらいので、下のイラストをご覧ください。上の板は何もしてない板、下の板が開先加工を施した板です。
まず、開先加工無しの溶接です。
仮に板厚は5mm、出力は120Aとします。
溶接後はこのような仕上がりになります。アークを当てた反対側までは溶融せず、板の半分ぐらいが溶接されている感じです。
次に開先加工をした場合です。
板厚は同じ5mm、出力は100Aとします。
板の裏までしっかりと溶け込んだ溶接ができました。この裏に出ている部分を裏波といいます。
このままでは板の表が凹んだ状態ですので、これは何とかしたいですよね?
ここで二層目の溶接をします。二層目は溶接棒を添加し肉を盛るように溶接して、強度を高めます。
開先をとって二層2パスで仕上げた場合はこのような形になります。
裏波も出ており、より強度の高い溶接ができているのが分かるかと思います。
以上のように開先加工をしない場合は、トーチを動かすスピードや材質にもよりますが、ステンレスの場合、WT-TIG160(160A)で4mm程度、WT-TIG200(200A)で5mm程度の溶け込みとなります。
例えば裏から溶接が出来ないパイプの溶接で、裏波が不要な場合は開先をとらずとも、一周溶接すれば十分な強度が得られるでしょう。
逆に上記のような平板では、裏波が出ていない状況で表から力が加わると、すぐに曲がってしまいそうです。
開先加工をすれば、理論上は厚み何ミリでも溶接できます。
同じくパイプ溶接で、中に飲料などが通る場合、裏波が出ていないとその部分にカスが溜まって不衛生だと聞きました。
状況に応じて柔軟に対応する事で、当TIG溶接機WTシリーズでも十分な溶接が可能です。
ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
Posted by アルミ、ステンレスの溶接に最適なTIG(アルゴン)溶接機 at 13:34 / TIG溶接機,アルゴン溶接機 コメント&トラックバック(0)